活動リポート2014

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都連現代史研究会 「ソ連・コミンテルンとスペイン内戦-ソ連・コミンテルンのスペイン支援の実態」 講師:島田顕 氏
  14/11/16 #14-003

   戦後史を中心に、日ソ関係、抑留者問題のほか、ソビエト文化、モスクワ放送などにもスポットを当て、戦後からアジアの冷戦ならびに今日にいたる国際関係を分析しつつ、それらが日本とユーラシア諸国民とどう関わってきたか、これらを踏まえ、民衆同士の草の根の友好をいかに構築すべきかをさぐることをテーマとしている現代史研究会が11月16日(土)、講題「ソ連・コミンテルンとスペイン内戦」の講演会を日ソ会館(東京ロシア語学院内)で開催した。講師は、歴史研究家の島田顕氏。
 島田氏は、 1990年代後半から 2001年まで、モスクワの「ロシアの声」本局で働くかたわら、歴史文書の研究を重ね、中心的な研究テーマである「コミンテルン」の研究を続けた。今回の講演会はその地道な努力の成果の発表の場となった。ファシズムの黒影が色濃くなっていた1930年代後半、世界中の進歩的な若者が挙って「スペインに行こう。スペイン共和国を救おう」と考えたという。 36年 7月、軍部を中心とする反政府勢力のクーデターによってスペイン内戦が始まると、コミンテルンとソ連は、革命勢力・進歩的勢力・反ファシズム運動支援・連帯の立場から、スペイン共和国支援に乗り出した。このスペイン支援とは、一体何だったのか。ソ連・コミンテルン側からみたその意義を島田氏は、講演の中で正面から答えた。
   はじめに詳細に渡ってソ連・コミンテルンの分析、スペイン内戦を掘り下げ、次の段階でソ連・コミンテルンの様々な働きかけ、システムについて具体的な記録、資料に基づいて説明があった。特にソ連側スターリンの執務室会議、政治局のスペイン問題の審議回数、ソ連側のスペイン内戦介入政策関与組織については当時の記録を以ってなされ参加者の興味を引くところとなった。また代表的且つ具体的なフォーマルシステム及びインフォーマルシステムの存在がスターリンを中心としてソ連とコミンテルンの政策にどのように係わったか歴史文書から丁寧な発表がなされ、内戦で使用された独自の暗号システムの存在に参加者は具体的な歴史の一端を垣間見ることになった。近年新たに公開されたモスクワのスペイン内戦関連コミンテルン文書が存在するが、現在も一部は非公開であり、島田氏が研究を今後も継続され、次回の講演会が期待される。
  最後に島田氏は冷静に結論付けた。「@ソ連にとってのスペイン内戦とは、Aソ連にとってのコミンテルンとは」@それは得るものが大きかったが肝心のスペインの為に利用されたものでなかったこと、A支配の場をみつけたということ。「Bスペインにとってのコミンテルン、ソ連とは」意味のない非効率的なものであったとのことである。島田氏の講義後数名からの質疑応答を経て講演会は終了した。参加者が当日手にした資料の数々は島田氏の研究の賜物であり講演会当日だけでなく氏の著書と共に貴重なものであった。今後も読み返して今後公開される資料と共に合わせて再学習したい。


「ソ連・コミンテルンとスペイン内戦-ソ連・コミンテルンのスペイン支援の実態」(講師:島田顕 氏)「ソ連・コミンテルンとスペイン内戦-ソ連・コミンテルンのスペイン支援の実態」(講師:島田顕 氏)
満を持しての映画会「鶴は翔んでゆく」上映される
  14/06/08 #14-002

 本年2月の記録的降雪で小田急線ほかの交通機関が乱れ、開催延期を余儀なくされた本映画会は、前回の反省からか今回は雪害の全く心配ない時期に催行された。しかし、“好事魔多し”の例えどおり、当日は映写用プロジェクター不具合により、急遽、テレビ画面での映画会となった。参加者の皆様が上映開始まで、じっと耐えてくれたことに陳謝と感謝。
 かつては「戦争と貞操」というタイトルで紹介されていた映画だが、戦渦の中で生きる女性の断面を描き、その葛藤には考えさせられるものがあった。
 上映後の恒例の感想発表会では、「この映画は一回目はソ連で、二回目はアメリカで、そして三回目は本日だが、時代の変遷を回顧するとなかなか感慨深い。」「女性は強いもんだねー。そこいくと、男は単純だなー。」「ストーリーもよかったが昔の映画は映像の切り替えテンポが、余韻があっていい。」と各人がざっくばらんな意見を開陳し、満足して散会した。
早くも、次回上映作への期待が集まっている。
鶴は翔んでゆく

「レフおじいさんの童話の森にて」  劇団あとむ 調布公演

  14/03/31 #14-001

 「児童演劇がこれほどのものとは・・・・」観客のひとりは、芝居の印象を率直に語った。
 また、ある母親は「うちの子は、劇団四季を観に行ったときは寝ていたのに、今日はずっと集中して観ていた」と話した。 
この日、トルストイの民話集をもとにした4つのお話しからなる音楽劇「レフおじいさんの童話の森にて」の世界に、観客は、子ども大人も完全に引き込まれていた。
あとむの芝居は、見るものの想像力をかき立てる。例えば、板や箱、布などを組み合わせて様々なものを表現する。“木立” が次の瞬間“扉”に、“椅子”がベッドになる。時には人間そのものが舞台美術の一部と化す。
 人形も重要な役割を果たす。「人は何で生きるか」では、母親は女優が演じるが、娘二人は人形。後ろで俳優たちが操っているのだが、その生き生きとした動きは、本当に「演じている」かのようだ。
 音楽は全てオリジナル。俳優たちが演奏し、歌い、そして踊る。
 実によく作り込まれた脚本と演出、音楽、演技に観客の反応が加わり一つの作品が出来上がる。
 主催した調布狛江支部は、「大変だったが、いい物を紹介出来て嬉しい。観客の反応もすばらしかった。もう一度出来たら」と話している。
新聞「日本とユーラシア」第1444号より









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