(地球異変)極北、大地に謎の穴 <朝日新聞 2015年7月19日> | 15/07 #15-06 |
(サレハルド〈ロシア〉=野瀬輝彦) シベリアに謎のクレーター出現 メタン放出を恐れる学者 ■「見ろ、永久凍土が溶けている」 ■温室効果、CO2の25倍 |
|
(宇宙がっこう)アメリカでも「太陽光ヨット」 的川泰宣 <朝日新聞 2015年5月16日> | 15/06 #15-05 |
ロシアの高校教師だったコンスタンチン・ツィオルコフスキーが、ロケット無しでも、太陽光を推進力に変えることで、燃料ゼロで宇宙を航行できる「太陽光ヨット」を構想したのは約百年前。彼は、ニュートンの運動力学をもとに、ロケットを使えば、宇宙飛行ができることを初めて提唱した人物としても、有名です。 (的川泰宣・JAXA名誉教授) |
|
(今こそチェーホフ)手詰まり感「つぶやき」に反映 <朝日新聞 2015年5月11日> | 15/05 #15-04 |
約百年前のロシアで書かれた静かな悲喜劇。揺らぐ時代を生きる私たちの姿が重なる。 |
|
(世界発2015) トラ守れ、足跡追い2000人 ロシア極東、10年ぶり大調査 <朝日新聞 2015年4月2日> | 15/04 #15-03 |
ロシア極東で今年初め、10年ぶりとなる大規模なアムールトラの個体数調査が行われた。一時は乱獲による絶滅が心配されたが、足跡の数などから、頭数は増加傾向にあるとみられる。ただ、密猟や森林の違法伐採は続いており、最近の経済危機も、トラの未来に影を落としている。 ■車で、スキーで 1.4万キロ ウラジオストクから車で約3時間。零下4度ほどの寒さの中、大型の四輪駆動車で雪の山道を進んでいたとき、突然、世界自然保護基金(WWF)ロシア・アムール支部のパベル・フォメンコさん(42)が車を止めて外に出た。 「トラの足跡だ」。指で示した先を見ると、雪道の上に、猫のような形の足跡がくっきりと残っていた。アムールトラだ。前日の朝は雪が降ったので、その後に歩いた可能性が高い。 フォメンコさんが定規で大きさを測ると9センチだった。大人のオスは10センチより大きいので、大人のメスのようだ。「新たに1頭が確認できた」と喜んだ。 ロシア天然資源環境省が1月末〜2月に実施したアムールトラの個体数調査に同行した。調査にはWWFやロシア科学アカデミーなどが協力し、ハンターや保護機関職員ら約2千人が参加した。車のほか、徒歩やスキー、スノーモービルで回ることもある。調査地域はハバロフスク地方と沿海地方を中心に約14万平方キロ、調査ルートの総距離は約1万4千キロ。このような大規模調査は1996年、04年に次いで3回目となる。 冬に調査を行うのは、雪の上に足跡が残りやすいからだ。シカやイノシシ、キツネなど多くの動物の足跡が見えた。気温が低いため、DNA鑑定用のふんの採取も容易だ。 山の奥に向かうと次第に道が険しくなり、車が進めなくなった。車を降りて歩き始めると、近くでカラスの鳴き声がした。フォメンコさんは「トラが餌を食べているかも。近づくと危ないので、絶対に離れないように」と注意した。通常、調査では銃を持たない。いざとなれば、発炎筒で追い払うしかない。 深さ40センチほどの雪を踏みしめながら登っていると、フォメンコさんがつぶやいた。「1週間前、ここに来たら危なかったな」。周囲を見回すと、一面にトラの足跡がある。大きさや、列の並び方などから、オスとメス、子供2頭の計4頭がいた可能性が高い。これほど多くの足跡を見るのは珍しいという。 フォメンコさんは「餌の草食動物が多く、とてもいい環境ができている」と、満足そうな表情を見せた。 ■密猟や森の違法伐採、課題 WWFによると、ロシアはトラの全面的な保護に踏み切った最初の国だ。19世紀に極東への移民が増え、トラは人に危害を加える恐れがあるとして殺されたり、毛皮や漢方薬の材料を得るために大量に捕獲されたりした。だが、密猟や販売の取り締まりで頭数は回復しつつある。 天然資源環境省のエレナ・サルマノバさんは「ロシア独特の自然保護区の役割も大きかった」とみる。 特に規制が厳しいのが、調査や保護目的以外の立ち入りを禁止する「ザパベードニク」と、立ち入りはできても、狩猟や植物の採集は一切できない「ザカーズニク」だ。それぞれロシア全土に102カ所、約70カ所もある。トラは生態系の頂点にいるため、森を守り、餌となる草食動物を増やすことが大切というわけだ。 現在のプーチン大統領も保護に熱心で、昨年4月に極東を訪れ、保護されていた3頭のトラを自然に帰した。 ただ、WWFロシアのエフゲニー・チュバソフさんは「森林の違法伐採は大きな問題として残っている。それには、日本も関係している」と指摘する。 例えば、広葉樹のナラの一種は年間の伐採量が許可量の2倍になるとみられ、偽造書類で中国に輸出し、家具として日本で販売されるものも多い。経済危機の影響で違法伐採が増える恐れもある。「消費国側の監視も必要だ」と指摘した。 (ウラジオストク=中川仁樹) ◆キーワード <アムールトラ> 主にアムール川以南のロシア極東から中国東北部にかけて生息。オスの全長は3メートル前後になる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅の危険性が高い「絶滅危惧種」に指定されている。19世紀前半に約千頭がいたが、1940年代に40頭程度にまで減少。2004年の大規模調査では440頭前後になったとみられ、今回は600頭を期待する声もある。 |
|
日本語表記のふしぎ | 15/03 #15-02 |
日本ユーラシア協会都連会員の野田素子さんが、協会機関紙「日本とユーラシア」3月15日号の「琥珀」欄に「日本語表記のふしぎ」というエッセイを寄稿していますので、紹介いたします。
ここで紹介された「赤の広場コンサート」は、以下のURLから視聴できます。 「ギョーテ(ギョエテ)とは、俺のことかとゲーテ言い」とは、よく知られた古い川柳だが、ロシア語でもギョーテと発音するので、岡本正巳先生から教わったこの川柳、忘れることはない。ゲーテさんは実際には「ゴーテ」と「グーテ」の中間ぐらいの発音だそうだが、曰本語にない発音を日本語で表記するのだから、ある程度は致し方ない。
昔の作家たちが書いた″ソヴェート″旅行記を読むと、モスクワの表記を、モスコオとか、モスクバとしているものもある。ロシア語を習い始めた頃の先生が、モスクワの発音は、マスクヴァー、でも曰本語でこう言う人はいません、と言ったのを」思い出す。 フィギュアのプルシェンコは、発音に近い表記なら、プリューシェンコ(あるいはブリューシチェンコ)なのだが、ここまで有名になるとあきらめるしかない。プル様と呼ぶ人もいるし。 ロシアの男子名のウラジーミルがいっときウラジミールとされていたことが多かったが、ようやく最近は、アクセントのついたところをのばしてウラジーミルになってきた。 日本語表記が本来の発音からとんでもなくかけ離れることがある。ロシアのバリトン歌手フボロストフスキーの、日本での公演案内や市販DVDでの表記が、ホロストフスキーとなっていて、最初は別人かと思ったほどだ。翻宇すればHvorostovskyなのだから、力タカナ表記にすれば、フボ(ヴォ)ロストフスキーですよ。フボ様ファンとしては、いらつきます。 このフボロストフスキーがアンナ・ネトレプコと熱唱する2013年夏の「赤の広場コンサート」は、臨場感たっぷりのコンサートです。無料動画サイトで視聴可能。音楽ファンの方は必見です。 野田素子 新聞「日本とユーラシア」2015年3月15日
〜女性リレーエッセイより抜粋〜 |
事故車、余生はロシアで 新興国で人気高まる <朝日新聞・夕刊 2015年3月4日> | 15/03 #15-01 |
事故で壊れたり、水没して動かなくなったりした車の輸出が伸びている。普通の中古車に比べて価格が安く、修理をすれば走れると、ロシアなど新興国で人気が高まっているからだ。資源の再利用として注目される一方、事故車であることを隠して販売する業者も後を絶たない。 事故車、余生はロシアで 新興国で人気高まる。 ■中国系工場、格安工賃で修理 薄暗い作業場の中で、中国人の従業員が、塗装が終わったばかりの車を黙々と拭いていた。 ロシア極東ウラジオストクの自動車修理工場には、10台ほどの日本の中古車がぎっしり並んでいた。多くは車体の一部がへこみ、ヘッドライトもない。床には、ダッシュボードやドアなど内外装の自動車部品が無造作に置かれている。
中国人の経営者は片言のロシア語で、「これらは、ロシア人の中古車販売業者が日本から輸入した事故車。修理すれば新車みたいになる」と笑った。 シャオ・リャン社長によると、市内には同じように事故車を修理する中国系の工場が100軒以上あるという。この工場の作業員は10人ほど。給料は中国の通貨で払われ、月8千元(約15万円)。勤務は午前9時〜午前2時で、忙しければ24時間以上、続けて働くこともある。 ロシア極東では、1980年代後半から船員が手荷物扱いで格安の中古車を日本から持ち帰ったことで日本の中古車が定着した。その後、販売競争が激しくなり、約10年前から、仕入れ値が安く、利益率の高い事故車が増えてきた。
中古車販売業のエフゲニー・フェドトフさん(34)は2003年から事故車などの買い付けを始め、多いときで月20台を販売する。「事故車の利益は、通常の中古車に比べて5倍になることもある」と話す。 例えば、通常の中古車の仕入れ値が約50万円なら、事故車は20万円と半額以下になることも。修理に使うのは中国製の安い部品。正規のものに比べて耐久性などの品質はやや劣るが、見栄えは変わらないという。 しかも、修理する中国系の工場の中には、「観光ビザで不法に入国している作業員もいる」(業界関係者)と言われ、修理代は、ロシア人の工場に比べて半額程度になるという。こうして、原価の低い中古車が完成する仕組みができあがっているという。 もっとも、ウラジオストクで販売される車のうち、事故車の占める割合ははっきりしない。多くの業者が明示しないからだ。市内の中古車市場でも、1割と言う人もいれば、8割と言う人もいる。最近の景気低迷で全体の販売台数が落ち込んでおり、事故車であることを隠して売る業者が増えている恐れがあるという。 フェドトフさんも購入者には、事故車だと伝えない。「車の隅から隅までチェックしてもらうから問題はないよ」と強調した。 ■資源の有効活用、増える輸出 日本の中古車市場では、事故などで壊れたことがある車は人気がない。直せば使えても、保険会社や解体業者に引き取られ、解体されて、中古部品や鉄くずとして売られることも多い。 だが、富山市の中古車輸出業者コンスタンチン・テルプゴフさんは「日本の事故車は傷みが少なく、世界で人気。修理すればまだまだ走れる」と話す。中国製などの安い部品が手に入りやすくなり、いまや世界各地で、簡単に修理ができるようにもなった。 そこに着目したのが、事故車輸出の大手「タウ」だ。野月平(のづきだいら)啓介物流部長は「車販売店や保険会社などから引き取り、傷の程度に応じて修復可能、部品利用、素材利用に分類し、資源を有効活用したい」。 タウによると、国内で年間、約117万台の事故車が発生し、うち約29万台が修復可能だという。タウの取り扱い台数は、2009年9月期の2万3千台から14年9月期には4万7千台に倍増。このうち8割近くは輸出されているという。いまでは、ロシアだけでなく、経済発展が著しいアフリカや中南米にも出荷しており、中継貿易の拠点であるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイなどで修理する場合もある。 ■「ワケあり」伝えないことも ただ問題は、ロシアなどでこうした事故車を購入した業者が、事故歴を隠して販売するケースがあることだ。小さな傷なら問題は少ないが、車体の骨格が曲がったり、水没により電気系統が傷んだりした場合には、安全性が損なわれる心配がある。 中には、輸入関税から逃れるため、車を切断して「部品」として輸入後、再び接合し、「普通の車」として販売する業者もいるという。ロシアのある販売業者は「車体番号のプレートや登録書類を、同じ種類の車と入れ替えれば分からない」と明かした。こうした接合は車の安全性を大きく損なうため、ロシアでは禁止されている行為だ。 消費者側は、事故車と知らずに購入してしまうことを防ぐ取り組みを加速させている。ここ数年、車の購入契約前に検査場に持ち込み、車に問題がないかを検査してもらう人が「かなり増えている」(ロシアの修理業者)という。 (ウラジオストク=中川仁樹) |
|